【事例】症候性てんかんで障害基礎年金2級 50代女性

障害年金受給の概要

【傷病名】複雑部分発作を伴う症候性てんかん
【性別・年齢層】女性・50代
【結果】認定日請求で障害基礎年金2級
【エリア】北見・網走地区

相談から請求までのサポート内容

幼少期に髄膜炎と診断されてから、たびたび身体が動かなくなることがあり、複数の病院を受診しても原因が分からなかったとのことです。最近、てんかんの脳波が認められ、薬も服用しているが、発作は続いており、障害年金の請求ができるのか、ご本人からご相談いただきました。

詳しくお話をうかがったところ、幼少期にA病院で髄膜炎と診断され2~3か月入院。退院数年間は、身体が動かず固まってしまうことがあったが頻度は低く、病院に行くことはなかったとのことでした。

小学校から短大卒業までは症状はなく、再び症状が出はじめたのは就職してからでした。その時も病院には行かずに過ごし、その後も症状がある時期とない時期を繰り返していました。

その後ほとんど症状は現れず、体調を気にせず外出できるようになったとのことでした。2人の子供を出産し、家事をしながら週2日ほどボランティア活動をしたり、保育士の勉強をするため専門学校に入学するなど充実した日々を送っていました。

しかし2年ほど前に、記憶が曖昧になったり、日付や時間の感覚のズレが起こるようになり、変だなと思うことが多くなったとのことでした。

そこでB病院の脳神経外科を受診し検査を受けたところ、てんかんの脳波が確認されたため、「てんかん」の薬が処方され治療が始まりました。

発作の種類や頻度などから、障害年金2級に該当する可能性は十分にありました。

相談者さんの傷病名は「特発性てんかん」ではなく「病候性てんかん」でした。
※「特発性てんかん」はさまざまな検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかん、「病候性てんかん」は脳に何らかの障害や傷(脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞など)があることによっておこるてんかん、と言われています。

幼少期に髄膜炎で入院しているため、現在の主治医に髄膜炎とてんかんとの因果関係について確認しました。「因果関係があるとは言い切れない」との回答をいただきましたので、検査によりてんかんの脳波が確認されたB病院を初診日として進めることにしました。

診断書の作成にあたって、日常生活の支障の状況など、ソーシャルワーカーさんと連携を取りながら進めていきました。髄膜炎との因果関係についての意見も備考欄にご記載いただきました。

また、髄膜炎で入院した日が初診日とされた場合であっても、約13年間、医療機関にかかることなく過ごされ、出産・育児をこなしながら家事を行い、さらには専門学校に通うなど、通常の社会生活が送れていたため、「社会的に治癒しているもの」と主張し、当時の活動の資料を添付して提出しました。

請求の結果

障害基礎年金2級で受給が決まりました。

この事例の特徴

傷病名が「特発性」ではなく「病候性」ということもあり、てんかんの脳波が確認された日が初診日となる可能性がありました。主治医から「因果関係があるとは言い切れない」との意見をいただきましたが、社会的治癒の準備もし、慎重に進めていきました。

髄膜炎でA病院を受診した日は40年以上前で、カルテは廃棄されており、受診した日の証明になるような書類や第三者からの証言を得ることはできませんでした。初診日が、髄膜炎で入院した日とされた場合、初診日が特定できず不支給になることも考えられたため、無事、B病院が初診日と認められ良かったです。

障害年金について調べていても、理解が難しいと感じることがあると思います。そんな時は、ぜひ専門家にご相談ください。