【事例】大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症、胸部大動脈瘤で障害厚生年金3級 40代男性
障害年金受給の概要
【傷病名】大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症、胸部大動脈瘤
【性別・年齢層】男性・40代
【結果】遡及請求で障害厚生年金3級
【エリア】北見・網走地区
相談から請求までのサポート内容
奥さまから旦那さまやご家族のご病気についてのご相談でした。
最初に旦那さまの現在治療中のご病気、その後ご家族のご病気についてお話を伺いました。どちらも、障害認定日はしばらく先でしたので、障害年金の制度や現時点での受給の可能性、請求方法について説明し、障害認定日が近づいた時に改めてご相談いただくことになりました。
相談を終了しようとした時に、旦那さまが10年ほど前に人工弁の手術をしていたことが分かりました。退院後に、障害年金の申請のため年金事務所で相談したところ、人工弁は原則3級のため、初診日が20歳前の傷病だと受給は難しいと言われたとのことでした。それでも、障害基礎年金の請求書類を用意し、一旦は窓口で提出したようですが、提出してすぐに取り下げておりました。
奥さまの記憶では「手術にいたる検査の前には、病院には通っていなかったと思う」とのことでしたので、社会的治癒の考え方や、請求方法(添付する資料など)について詳しくお伝えし、終了となりました。社会的治癒とは、医学的には治癒していなくても、投薬治療がなく一定期間継続して普通の生活や就労をしている場合、いったん治癒したとみなし、以前と同じ疾患が再び生じても新たな傷病を発病したとする考え方のことです。
後日ご連絡があり、請求のお手伝いをすることになり、以前請求した時の書類をお預かりし、その内容を踏まえて改めてご本人さまから当時の様子をきかせていただきました。
生後3か月の検診で心雑音があると言われ、遠方の総合病院を受診、「大動脈弁狭窄症兼閉鎖症」と診断されておりました。カテーテル検査のため入院したものの、手術の必要性はなく年3回の経過観察となっておりました。
その後、地元の病院では年5~10回の経過観察となり、10年経った頃には年1~3回の通院になっておりました。経過観察は続いていたものの、治療や薬の処方が行われるわけでもなく、高校生の頃には病院にいくのを止めてしまったそうです。
高校卒業後、年1~2回の経過観察を再開。仕事や日常生活には支障はなく、普通に過ごせておりました。30代後半になった頃の経過観察で大動脈瘤が見つかり、大動脈弁置換術と人工血管置換術の手術を受けておりました。
経過観察も含めた受診歴や、高校卒業後の状況を整理し、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症と胸部大動脈瘤で病歴・就労状況申立書を作成しました。また、経過観察時の仕事やプライベートの様子を記載、当時の写真などを提出し、別紙で初診日についての補足もさせていただきました。
請求の結果
社会的治癒が認められ、障害厚生年金3級(5年のさかのぼり)で受給が決まりました。
この事例の特徴
幼少期にご病気を患い、一旦症状が安定したものの、大人になって症状が悪化した場合、幼少期に初めて診療をうけた日が初診日となり、今回のような「3級相当のご病気」の場合は、相談窓口で「受給できない」と言われてしまうことがあります。
ただ、障害年金には社会的治癒という考え方があり、「症状が安定していた時期」を「社会的に治癒していた」と認めてもらうことで、受給できるケースもあります。
相談員の回答にご納得できないケースもあると思います。そのまま諦めるのではなく、セカンドオピニオンとして別の専門家に意見を求めてみてもいいかもしれません。