【事例】双極性感情障害で障害基礎年金2級 30代女性
障害年金受給の概要
【傷病名】双極性感情障害
【性別・年齢層】女性・30代
【結果】障害基礎年金2級(2年のさかのぼり)
【エリア】紋別・遠軽地区
相談から請求までのサポート内容
2年前に一度ご自身で申請しようとしたものの、“初診日が証明できていない”という理由のため年金事務所で受け付けてもらえなかったようです。自立支援事業の支援員様から「このまま諦めてしまって本当に良いのだろうか?」とご相談をいただきました。
初診日が証明できなかった経緯について、後日ご本人様からお話をうかがいました。
1つ目のA病院には、不眠の治療で受診していました。数回通院したものの、お金がかかることを理由にご自身の判断で通院をやめてしまったそうです。その後も不眠は続き、神経は常にピリピリしていたとのことでした。その後、抑うつ状態がでてきたため、再びA病院を受診していました。
この一連の流れから、年金事務所では初診日は不眠で受診した日であり、その日を初診日とする「受診状況等証明書」を提出するよう言われたそうです。A病院から発行された「受診状況等証明書」には抑うつ状態で再び受診した日が初診日として記載されていたため、不眠で初めて受診した日への修正を依頼したのですが、応じていただけなかったようです。
精神の病気の場合、最初から精神の不良を訴えるのではなく、不眠や胃痛・食欲不振など身体症状があらわれ病院を受診することが少なくありません。そのため、障害年金を申請する傷病名と、初診日の傷病名は必ずしも同じであるとは限りません。
A病院には当時のカルテも保管されていますし、諦めずにもう一度申請をしましょうということになりました。
改めて、A病院に「障害年金における初診日のとらえ方」について書面で説明し、「受診状況等証明書」の発行を依頼しました。しかしながら、不眠と抑うつ状態は別物であり、抑うつ状態で受診した日を初診日とするとの回答がありました。
「不眠で受診し、その後抑うつ状態で受診した場合、不眠の日を初診日とする」のが一般的で、このケースでは年金事務所の相談員からも、そのように言われていました。ただ、私たちは医療の専門家ではないため、医師の判断に従い、抑うつ状態で受診した日を初診日として請求することにしました。
※当初は以前の申請通り不眠を初診日として申請する方針でしたが、不眠と抑うつ状態のどちらが初診日になっても、保険料納付要件をクリアし年金の種類も同じであるため、出来るだけ早く申請し、初診日の判断は審査官にゆだね、その結果によって対応を考えることにしました。
しかしながら、年金事務所の相談記録には、2年前に申請を試みた際の初診日の日付も残っております。そのため、日付変更に至った理由と医師の見解について「病歴就業状況等申告書」に詳しく書くことにしました。また、A病院の医師に「受診状況等証明書」の発病から初診までの経緯の欄に、不眠治療についても記載いただくようお願いし、その上で抑うつ状態で受診した日を初診日と判断したと分かるようご記入いただきました。
「受診状況等証明書」を作成いただくまで通常より時間がかかりましたが、現在通院している医療機関では診断書をすぐご用意いただくことができ、ご相談いただいた月の翌月に申請することができました。
請求の結果
障害基礎2級(2年のさかのぼり)で受給が決まりました。
この事例の特徴
一般的に精神の病気の初診日は、その傷病名がついた日ではなく、精神症状や身体症状(不眠、食欲不振、意欲低下などを)が出て初めて医師の診断を受けた日となりますが、担当医が異なる見解を示したケースでした。
「受診状況等証明書の初診日の日付が違う」ととらえるのではなく、「医師が、初診日は不眠で受診した日ではなく、抑うつ状態で受診した日であると判断したのならば、一旦その日で申請し、初診日の判断は審査官にゆだねてみる」という方法をとれば、2年前から年金を受給できていたかもしれません。
支援員様が疑問をもち、ご本人様が申請しようと思ってくれたため、無事に受給が決定し、2年前にさかのぼって年金を受け取ることができました。
もし、支援員様からの相談がなければ、受け取れていたかもしれない年金を、この先ずっと受け取ることができてなかったかもしれません。
ご自身での申請は難しいと思われた場合には、諦める前に専門家に相談することをおすすめします。どうか専門家を頼ってくださいね。